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進化し続けるステンレス鋼

ステンレス鋼は、その名の如く錆びない(Stain-Less)ハガネ(Steel)として1912~1913年に発明され、20世紀最大の発明の一つに挙げられます。
初めて登場した頃は、単に空気中では錆びないと言う程度でしたが、次第に進化を重ねて現在では酸に耐える性質、熱に耐える性質、酸化に耐える性質など優れた特性を持つステンレス鋼が続々と出現し、現在実用に供されているステンレス鋼の種類は実に多く、JIS(SUS規格)では80種類が規格化されております。

ステンレス鋼の金属組織は大きくは、オーステナイト相(γ相)とフェライト相(α相)の2種類ですが、γ相からα相への変態の遷移相としてマルテンサイト相(α′相)があり3種類に分類され、さらに高機能を付加したγ相とα相が混在する二相ステンレス鋼と、熱処理により靱性のある極めて硬度の高い二次相を析出する析出硬化型、二相組織で析出硬化による析出硬化型二相ステンレス鋼の3種類、合計6種類に分類されています。


当社では、ポンプ材に好適な耐食性、耐摩耗性と言う問題にいち早く取り組み、当社独自の開発材質として耐食、耐摩耗性に優れた「高強度のステンレス鋼」を完成させました。
「高強度ステンレス鋼」は、仕様が多岐わたる化学プラントや半導体工業の廃水処理設備等で多様されていた塩ビ製やゴムライニング製の高分子化合物製品に替わる耐食材として採用され、さらに圧倒的な機械的強度の優位性からご好評を得ています。

 

高強度ステンレス鋼の種類

MPH-24
析出硬化形ステンレス鋼(masuda precipitation.hardening stainless steel)
SCS1 3の耐食性に耐摩耗性をプラスした低コストの高機材、被溶接性も良い。

組織は、17Cr-4Niに析出硬化元素を添加して基地を低炭素のマルテンサイト化としたステンレス鋼で、特殊熱処理を施すことにより靱性のある極めて硬度の高い二次相を析出させた機械的強度の高いステンレス鋼鋳鋼で、耐食性はSCS13と同等です。

[特徴]
・SCS13並みの耐食性とHB375以上の硬度を併せ持っているため、耐食性と耐摩耗性が同時に要求れる箇所、例えばケミカルスラリーポンプなどに使用されます。 また、ステンレスポンプのしゅう動部分のカジリ付き防止部品としても使用されています。
・被覆アーク、TIG溶接等による溶接性が良く予熱・後熱などの必要はありません。

[用途]
ガス冷却プラント、スラリーポンプ、シュレッダーポンプ、カジリ付き防止機械部品、キャビテーション対策羽根車、化学機器の耐食、耐摩耗用部材

[機械的性質]
製品記号  耐力 N/m㎡   引張強さ N/m㎡   伸び %   絞り %   硬さ HB 
 MPH-24  ≧1,030 ≧1,240 ≧6 ≧375

【耐食・耐摩耗性の比較】
水酸化カルシュームスラリー15wt%
(PH4~8: Clイオン800ppm:50℃)
羽根車の耐食耐摩耗性
12~17%Cr鋳鉄
(全面腐食+摩耗)
MPH-24
(全面腐食ナシ)


MD-11

高強度二相ステンレス鋼(masuda duplex stainle ss)
亜硫酸・海水・塩化物環境での耐食性に優れ、強度もオーステナイト系やフェライト系ステンレスよりも優れている。被溶接性が良い。


組成は、25Cr-5Ni-2Moのオーステナイト相とフエライト相がほぼ等量混在している二相ステンレス鋼で、950~1100℃に加熱後急冷する固溶化熱処理状態では最高のじん性、延性を示します。
耐食性については、亜硫酸、海水、塩化物環境での孔食や応力腐食割れに対する抵抗性に優れているため、化学プラントや製紙プラント、海水を使う機器類、公害防止機器類に使用されています。 
なおMD-11はJIS規格を超える強度があり、被溶接性に優れている高強度のステンレス鋼ですが、MPH-24及びMDPH-30の析出硬化系よりは機械的強度は低くなっております。

[特徴]
・SUS316Lに匹敵する耐食性と高い靱性がある低コストの耐食ステンレス鋼鋳鋼です。
・被覆アーク、TIG溶接等による溶接性が良く、予熱・後熱などの必要はありません。

[用途]
濃硫酸、発煙硫酸等を取扱う硫酸プラント、銅電解プラントや製紙プラント、海水を取り扱う機器、公害防止機器類、各種メッキ電解液

[機械的性質]
製品記号  耐力 N/m㎡   引張強さ N/m㎡   伸び %   絞り %   硬さ HB 
 MD-11  ≧350 ≧600 ≧15 180~241

【耐食・耐摩耗性の比較】
炭カル石膏スラリー
(50℃×液比重1.2×濃度20wt%×PH4×9000Hr)
SCS14 MD-11
SCS14 MD-11


MDPH-30
析出硬化形二相ステンレス鋼(masuda duplex pre cipitation.stainless steel)
還元性から酸化環境まで広い範囲に抵抗性があり、硬度が高く機械的強度が優れているため腐食性の強いケミカルスラリー用に最適、被溶接性が良い。


MDPH30は、ステンレス鋼の中でも最上級のJIS規格SUS329J4Lを超える耐食性を示し特に耐硫酸露点腐食性に優れております。 
また、還元性から酸化環境までの幅広い範囲に対する抵抗性はALLOY 20に匹敵し、機械的強度はマルテンサイト鋼並みです。
組成は、オーステナイトとフエライトが混在するBalNi-28Cr-2.5Mo-2Cu-αから成る組織で、オーステナイトに固溶し、フエライトに固溶しないα元素を添加して粒界腐食を防止し、更にCu、R.E元素を添加することにより微細な金属化合物を析出させ、特殊熱処理で硬度HB375以上となる高強度の析出硬化形二相ステンレス鋼鋳鋼です。

[特徴]
・塩素イオン、フッ素を含む環境での抵抗性があり、硬度もHB375以上であるため耐摩耗性があり石膏スラリーや燐酸スラリーなどの腐食性の強いケミカルスラリー用に適し ています。
・被覆アーク、TIG溶接等による溶接性が良く予熱・後熱などの必要はありません。

[用途]
各種メッキ電解液、硫酸酸性スラリーや燐酸スラリーを取扱うポンプ、排煙脱硫装置・ゴミ焼却装置の腐食摩耗液の輸送、カ性ソーダ用、海水用、各種化学装置用ポンプ

[機械的性質]
製品記号  耐力 N/m㎡   引張強さ N/m㎡   伸び %   絞り %   硬さ HB 
 MDPH-30  ≧1,030 ≧1,240 ≧6 ≧375

【耐食・耐摩耗性の比較】
周速 22.0m/sec PH 1~1.5(硫酸酸性)
Cl 20,000ppm 温 度  50~60℃
20%wt石膏スラリー 運転時間 9.000hr
MD-11 MDPH-30
MD-11 MDPH-30

【濃度 20%・沸騰硫酸液に対する腐食試験の比較】
腐食試験

経験から生まれた高効率スラリーポンプ

スラリーポンプ

 粒径d≒0.5mm(粒度30メッシュ)以下の固相が混じった二相の状態(固相と液相の混合)をスラリー(泥しょう)と称し、これを取り扱うポンプを通常スラリーポンプと呼び、それ以上の粒体を取り扱うものをサンドポンプまたはグラベルポンプと呼んでいます。
 しかし最近では、取扱液や使用条件も多様化し、本来はサンドポンプと称されるであるべき分野までスラリーポンプと称される事があります。


スラリーポンプの選定条件

 スラリーポンプの選定に当たっては、高効率、高性能である事は言う迄もない重要な要素です。しかし、構造や理論が優れて性能通りの運転ができても短期間で腐食や摩耗をしたり、運転中に故障を起こしたり、また、分解・組立が面倒で部品交換に時間がかかるようでは何もなりません。
 一般の化学工場でスラリーを取扱う場合、一番問題になるのは材質の選定です。
 固体粒子が大きいほど、粒子の形状が不揃いで角が鋭いほど、あるいは液温が高い場合や、省エネのため高い効率が求められる場合には耐摩耗性金属の方が軟質ゴムライニング製よりも適しています。

 スラリーポンプの構造・材質選定にあたっては、イニシャルコスト、ランニングコストを勘案して最も合理的な材料を検討する必要があります。
 スラリーポンプの形式が遠心ポンプの場合であれば、ケーシングは静止体なので腐食や摩耗を受ける度合いが羽根車に較べ遙かに低いため、必ずしも羽根車と同材質でなければならないと言う事はなく、むしろ、 羽根車は外周の流速の早い処ほど腐食や摩耗が加速的に進行するので、ケーシングに較べ抵抗性の高い材料を選ぶことが必要です。
 材料選定にあたっては、ユーザーのメカニカルエンジニアおよび豊富な経験と知識をもつメンテナンスエンジニア、メーカーの提案で行われることが、最も望ましい形です


スラリーポンプには、何故高効率ポンプを必要とするのか
セイブ・ザ・マネー
『省エネの最も有効な手段はポンプ効率の見直しです』

 英国のある技術雑誌に、ポンプ効率を1%改善すれば英国国内のポンプ運転に係わる電気代は年間約3千万ポンド(約60億円)節約出来るというレポートが掲載されていました。現在、地球規模でCO2を削減する為に、省エネは最も緊急を要する重要課題となっております。
 しかし、一般に「省エネ」と言えば主にタービン、エンジン、熱交換などが注目されており、数多く機能しているポンプ類にはさほど関心が払われていないばかりか、ポンプを使用している現場では、むしろ負荷の変動を見越して余裕の有りすぎるポンプを選定したり、ポンプ効率の低いところで運転していたり、またポンプ性能が低下しているものを使って動力費を浪費しているのが現状です。
 スラリーポンプの新規更新までの生涯経費(トータルコスト)を100とした場合、ポンプ取得価格はおおよそ2~3%程度、メンテナンス費用は4~6%程度、残りの90%以上は動力費となっています。従って、ポンプの運転効率を僅か2~3%アップする努力がポンプ購入金額と同等になる計算となります。


豊富な現場経験から生まれた高効率スラリーポンプ

 今までのスラリーポンプは、腐食や摩耗分を考慮して贅肉だらけの重厚長大な構造であり、ポンプ効率の悪いのは仕方の無い事だと思われていました。しかし、近時スラリーポンプに適した耐食・耐摩耗の新素材が次々に開発され、それと共に鋳造・熱処理技術も飛躍的に向上して設計通りの精度の高い鋳造品が作れるようになり、更にコンピューター解析による新しい流体理論と高度な生産技術により、高効率スラリーポンプの製作が可能となりました。
 当社は、「高効率化」による省エネルギー、「長寿命」による省資源をテーマに、「取扱いの良さ」「ムダのない構造」「低廉性」というコストパフォーマンスな考えから豊富な現場経験を活かし、先進の技術で各種用途の高効率スラリーポンプを製作し各方面からご好評を得ています。


省エネルギー効果と耐食・耐摩耗性の検証

効率改善による省エネルギー効果の実証例と
耐食性及び耐摩耗性の検証


 当社では福島県I市の某精錬所に、排煙脱硫装置の吸収液(55℃×液比重1.2×Cl濃度20,000PPM×PH4~7×石膏スラリー)循環用として既設ポンプと同仕様の新設計の高効率スラリーポンプを納入し、既設のポンプとの比較運転を行いました。


大きさの比較

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動力費の比較

(a)既設ポンプ(W社製)
 口径300mm×容量18m3 /min×揚程30m×回転数400min-1 × 効率35%×軸動力260kw
 〔材 質〕 ケーシング:ゴムライニング、羽 根 車 :高クロム鋳鉄
(b)CEX形高効率スラリーポンプ
 口径300mm×容量18m3/min×揚程30m×回転数1.500min-1×効率65%×動力180kw
 〔材 質〕ケーシング:MD-11 高強度二相ステンレス鋼鋳鋼、
      羽 根 車 :MDPH-30析出硬化形二相ステンレス鋼鋳鋼
      吸込カバー:MDPH-30析出硬化形二相ステンレス鋼鋳鋼
(c)運転条件:連続運転:年間稼働時間330日(定期整備、スタンバイ) 電動機効率:94%
(d)年間の動力費で比較
 動力費の比較は下記の通りです。

(a)の効率35%のポンプの動力費は 260kw÷0.94×24hr×330日=219.100kwH
(b)の効率65%のポンプの動力費は 180kw÷0.94×24hr×330日=151.660kwH

この差219.100kwH-151.660kwH=67.440kwH
これを金額にすると1kwH≒20円とした場合には、
即ち、効率30%の差で
年間約1.350.000円の電力費が節減出来ます。


耐食性および耐摩耗性の検証

 連続3800時間(約6ヶ月間)運転後、解放検査を行い各部品毎の摩耗状態を確認しました。部品質量、寸法を測定し、摩耗程度を視認する検査方法により、検査した結果、出荷時の状況と概ね変わりが無く殆ど摩耗状態が見られず良好な状態でした。 なお、検査結果は、下欄の写真の通りです。

1,サクカバーを取り外した処
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2,ケーシング (摩耗殆どなし)
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3,サクカバー (摩耗殆どなし)
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4,羽根車 (摩耗殆どなし)
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5,軸受け異常なし
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6,組立検査異常なし
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